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09.08.19 視覚障害者のための舌で「見る」装置 BrainPort [いろいろ]

うちのばぁちゃんは全盲だった。
たまに外出するときは白い杖をついてたけど、それって数年に1回くらいだった気がする。
あとはずっと家にいて、ラジオの前にちょこんと座ってお相撲を聞いてたな。

そのばぁちゃんには、たまに誰かから点字の手紙が来てた。
子ども心に、それは暗号でも記してあるかのような、不思議なナニモノかだったけどね。
デコボコのついた厚紙を触りながら、どこかを見上げながら微笑んでるばぁちゃんの姿は不思議だったよ。

たまにばぁちゃんは点字の手紙を打って、その余白にカタカナで何かを書くんだよ。
たぶん手紙を出した先の、だれか点字が読めない人に向けてなんだろうね。
一通り書き終わると僕が呼ばれて
「読めるかね?」
って聞かれる。

全盲のばぁちゃんが書いたカタカナだから、文字がくっついてたり、時にはバラバラになってたり。
決して読みやすくはない。それを声に出して読んでいく。
苦労しながら無事に読み終えると、ばぁちゃんは満足して、時には少し手直しして、点字の手紙を封筒に収めてた。

今日のエンガジェットに出てたこの記事には感動したよ。

「カメラから得た映像データを舌で感知できる電気パルスに変換します。映像データは白黒に変換され、舌に乗せるキャンディーなるデバイスに転送、キャンディーは9センチ四方の電極アレーになっており、映像の白い部分だけで電気パルスを発生させます。つまり白黒映像がそのまま刺激になって舌の上に現れるかたち」
なんだって。

「Arnoldussen氏によれば「ある男性は、はじめて手紙が読めたとき泣きはじめた」。」
ってのも、そうだろうなぁって思う。

なんかこういうことができてこそ科学。
こういうことに使ってこそ技術。
人類の創意工夫はこういうことのためにあったんじゃないかって思うよ。

だってね、この記事からリンクされてるムービー見てみて。



この人は視覚を舌への刺激に変えるデバイスを装着することで、文字を読んだり子どもと遊んだり、クライミングを楽しんだりできるようになった。
もう泣いちゃいそうだよ。

見えない人が見えるようになるってことじゃなくてね。
ある技術を使うことで、その人のシアワセの価値観が変わったり、シアワセの範囲が広がる。
シアワセに深みが出てくる。
シアワセって自分のものさしだけじゃあはかりきれないでしょ。
シアワセだねっていう感覚を、誰かと分け合うことが大事な気がするよ。

この装置はシアワセを分け合える。だから素晴らしい。
科学ってそういうことのためにあるんじゃないかな。
それが『希望』ってことなんじゃないかなって思った。


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