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09.08.25 「行かずに死ねるか!」を読んだよ [本や映画、音]

うひゃあああああ。
原稿書かなきゃいけなかったり、税金払いに行かなきゃいけなかったり、スケートもしたかったのになぁ。
結局読むのを止められなかったよ。

思った通りだった。
とても優しくて、とても優雅で、とても孤独で、とても正直な本でした。
旅に行きたくなるね。

ってか、世界って自転車で一周できるんだ、って。
改めて、そのことにビックリ。
だってさ、国境もいっぱいあるし、どっか泊まるたんびに自転車盗られないかなぁとか、心配でしょ。
基本はキャンプだったみたいだけど、夜中に誰かがテントの周りをうろうろしてたり、時にはゲリラと間違えて撃たれそうになったり。
ホントにここで寝て大丈夫?ってのは毎回心配だろうね。

自分自身、今まで旅に行って。
パンとか果物とか、見えてるものを買うのは簡単だけど。
知らない街で食堂に入って何かを注文するのは、ちょっと気が引けたりするんだよね。
あの戸惑った感じを思い出した。
知らないことに尻込みしちゃう感じ。
そういう気持ちがめげる部分を、えいや!って乗り越えていかないと旅は続かない。
そうやってて、波を切り裂いて進む船のようにぐいぐい自分を押し込んでいかないと、足は前に進まない。
あの感じ。
著者の石田さんも、アラスカに比べると南米あたりでずいぶんぐいぐい型になってくんだけどね。
それが頼もしいやらおもしろいやら。

あと読んでて思ったけど。
たとえばさ、旅に出るときに荷物が多いってあるでしょ。
あれ、旅に日常を持ち出そうとしてるんだと思う。
そうじゃなくて、日常を旅に合わせようとすると、荷物って極端に少なくなるよね。

知り合いでインドに行って、荷物はコンビニ袋一個だった、って強者もいるけど。
(それが誰だか分かった人は、一緒にパウダーを滑ろう!)
それはまぁ、極端な例だけどね。
荷物だけを見ても、自分がどれくらい日常を引っぱってるか、どれくらい旅の中に身体を放り込んでるかが分かるかもね。
そのあたりの切り分けがきちんとできるかどうかで、旅と旅行は違ってくるのかな。

途中、石田さんは強盗にあって身ぐるみ剥がされるんだけどね。
以降、すっかり行商人に間違われるくらいの情けない装備で旅を続けるんだけどね。
そっから旅が俄然おもしろくなるよ。
自転車の旅って持って行ける荷物の量にも限界があるだろうし。
だいたい自分の足で漕いで、前に進んでるわけだし。
日常をひっぱるなんて無理!
こうなったらもう、旅の中に身体を放り込むしかないんだなぁって。
だけどそうすると、毎日はこんなふうに楽しくて柔らかい感動に溢れた切なくて真っ直ぐなものになるんだよなぁ。
そういえばそうだったなぁ、って思った。

だからそこからの南米やアフリカの旅はやたらとおもしろいよ。
読んでてわくわくするし。
ページごとに、ここはどんな景色なんだろうって想像して。
ほこりっぽい道をぎしぎし自転車を漕いでいく感じとか、
凍えるくらい寒い夜道で心細くなる感じとか、
そこで出会った人の家で暖房に当たったときの嬉しさとか、
細かいことをいちいち想像しながら読んでた。

この著者の石田さんと直接話してみたいなぁ。
お酒を飲みながらこの世界一周の話を聞き始めたら、何日かかるんだろう?
実際の旅は7年だったかな?
かなり長いものだったよ。
僕がティカルに行ったとして、同じように感動できるんだろうか?
それともあそこには、手間と時間をかけて自分の足で行かないとだめかなぁ。

巡り会った人や、会えなくなった人や、もう会うことのないだろう人たち。
さまざまな人に関わり合って、笑って、泣いて、旅は続いたよ。

ん〜〜、なんかいい本だった。
優しい本だった。


行かずに死ねるか! - 世界9万5000km自転車ひとり旅



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