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09.10.19 深夜高速 -生きててよかったの集い- [本や映画、音]

同じ歌が1つのアルバムの中に15曲も入ってる。
こんな大胆なアルバムは、この曲だから成立するんだと思う。

FCムービー パート10『赤の軌道』のエンディングテーマにも使われた
フラワーカンパニーズの「深夜高速」は名曲であると同時に、
歌がいかに人の心の深いところまで突き刺さるかを示した感情の刃だ。

その「深夜高速」を
 フラワーカンパニーズ(2009年バージョン)
 斉藤和義
 金子マリ
 怒髪天
 ミドリ
 中(あたり)孝介
 泉谷しげる
 湯川潮音
 おとぎ話
 キャプテンストライダム
 かりゆし58
 藤田大吾
 GO!GO! 7188
 YO-KING
 フラワーカンパニーズ(オリジナルバージョン)
の14アーティストが15の形で歌い上げた。



自分たちは夢を追って走っている。
深夜の高速のように遙か先も、過ぎてきた後ろも、
何も見えない中を走っている。
生きていて良かったと思える夜を探して。

この曲の中では何も満たされてない。
ただ探して、求めて、もがくだけだ。
そこにどうしようもないほど強いシンパシーを感じる。

けれど。
感じたことがすべてだと。
感じることがすべてだと肩を揺さぶられて、ぼくらはすれすれの希望を抱く。
全開の胸、全開の声、全開の素手で。
思い切りやるしかない。
今を全力で走るしかない。
その向こうにあるだろう、消えそうな、薄い薄い明かりを胸に、
生きていて良かった、とつぶやく。

ただでさえメッセージ性の強い曲なのに、
個性で勝負してるようなアーティスト達が自分たちの色を
時には優しく溶かし込みながら、
時には自分たちの色で強引に染めながら、
それぞれの形で表現する。

ものすごい曲を強烈な人たちが、もっとさらけ出した形で作り直した。
そうしたら、悲しいほどすごいものになりました。
そんなアルバムだ。
僕はいつも中孝介のへんで休まないと、その先を聴けない。

通して聴くと、なぜオリジナルバージョンが一番最後なのかよく分かるよ。


きっときみも泣くと思う。
聴くなら、独りのほうがいいよ。




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09.08.31 「いちばん危険なトイレといちばんの星空」 [本や映画、音]


いちばん危険なトイレといちばんの星空 - 世界9万5000km自転車ひとり旅〈2〉



8月25日のエントリーで書いた「行かずに死ねるか!」の続編。

「行かずに死ねるか!」は純粋な紀行文で。
旅をしてきた友達の家に遊びに行って、お酒を飲みながら、地図や写真やレストランのレシートや切符の半券なんかを見ながらゆっくりハナシを聞いてる感じだった。
旅の移動に合わせてお話しがすすんでいくね。

対して「いちばん危険なトイレといちばんの星空」は講演会みたい。
旅に出ると、どこがいちばん良かったですか、とか聞かれる。
だから「いちばん」をテーマに、いろんな「いちばん」を集めてみたっていうエピソード集。
ひとつひとつのお話しが短くまとめられてるから、ささっと読めていいよ。
3時間くらいで全読み切った。

で、今回もやさしくてていねいな本なんだよね。
パラパラマンガはエピソードに沿っていろんな方向に展開していくし。
ああ、やっぱりこの著者の石田さんって人は、ホントに柔らかく優しい人なんだなぁって思った。
すごく気持ちのいい本だよ。

でもまぁ、こっちはきれいな講堂で話を聞いてる感じ。
ホコリまみれの旅の気分を味わいたいなら「行かずに死ねるか!」の方がオススメかな。
好みで選んでみて。


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09.08.25 「行かずに死ねるか!」を読んだよ [本や映画、音]

うひゃあああああ。
原稿書かなきゃいけなかったり、税金払いに行かなきゃいけなかったり、スケートもしたかったのになぁ。
結局読むのを止められなかったよ。

思った通りだった。
とても優しくて、とても優雅で、とても孤独で、とても正直な本でした。
旅に行きたくなるね。

ってか、世界って自転車で一周できるんだ、って。
改めて、そのことにビックリ。
だってさ、国境もいっぱいあるし、どっか泊まるたんびに自転車盗られないかなぁとか、心配でしょ。
基本はキャンプだったみたいだけど、夜中に誰かがテントの周りをうろうろしてたり、時にはゲリラと間違えて撃たれそうになったり。
ホントにここで寝て大丈夫?ってのは毎回心配だろうね。

自分自身、今まで旅に行って。
パンとか果物とか、見えてるものを買うのは簡単だけど。
知らない街で食堂に入って何かを注文するのは、ちょっと気が引けたりするんだよね。
あの戸惑った感じを思い出した。
知らないことに尻込みしちゃう感じ。
そういう気持ちがめげる部分を、えいや!って乗り越えていかないと旅は続かない。
そうやってて、波を切り裂いて進む船のようにぐいぐい自分を押し込んでいかないと、足は前に進まない。
あの感じ。
著者の石田さんも、アラスカに比べると南米あたりでずいぶんぐいぐい型になってくんだけどね。
それが頼もしいやらおもしろいやら。

あと読んでて思ったけど。
たとえばさ、旅に出るときに荷物が多いってあるでしょ。
あれ、旅に日常を持ち出そうとしてるんだと思う。
そうじゃなくて、日常を旅に合わせようとすると、荷物って極端に少なくなるよね。

知り合いでインドに行って、荷物はコンビニ袋一個だった、って強者もいるけど。
(それが誰だか分かった人は、一緒にパウダーを滑ろう!)
それはまぁ、極端な例だけどね。
荷物だけを見ても、自分がどれくらい日常を引っぱってるか、どれくらい旅の中に身体を放り込んでるかが分かるかもね。
そのあたりの切り分けがきちんとできるかどうかで、旅と旅行は違ってくるのかな。

途中、石田さんは強盗にあって身ぐるみ剥がされるんだけどね。
以降、すっかり行商人に間違われるくらいの情けない装備で旅を続けるんだけどね。
そっから旅が俄然おもしろくなるよ。
自転車の旅って持って行ける荷物の量にも限界があるだろうし。
だいたい自分の足で漕いで、前に進んでるわけだし。
日常をひっぱるなんて無理!
こうなったらもう、旅の中に身体を放り込むしかないんだなぁって。
だけどそうすると、毎日はこんなふうに楽しくて柔らかい感動に溢れた切なくて真っ直ぐなものになるんだよなぁ。
そういえばそうだったなぁ、って思った。

だからそこからの南米やアフリカの旅はやたらとおもしろいよ。
読んでてわくわくするし。
ページごとに、ここはどんな景色なんだろうって想像して。
ほこりっぽい道をぎしぎし自転車を漕いでいく感じとか、
凍えるくらい寒い夜道で心細くなる感じとか、
そこで出会った人の家で暖房に当たったときの嬉しさとか、
細かいことをいちいち想像しながら読んでた。

この著者の石田さんと直接話してみたいなぁ。
お酒を飲みながらこの世界一周の話を聞き始めたら、何日かかるんだろう?
実際の旅は7年だったかな?
かなり長いものだったよ。
僕がティカルに行ったとして、同じように感動できるんだろうか?
それともあそこには、手間と時間をかけて自分の足で行かないとだめかなぁ。

巡り会った人や、会えなくなった人や、もう会うことのないだろう人たち。
さまざまな人に関わり合って、笑って、泣いて、旅は続いたよ。

ん〜〜、なんかいい本だった。
優しい本だった。


行かずに死ねるか! - 世界9万5000km自転車ひとり旅



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09.08.24 行かずに死ねるか! - 世界9万5000km自転車ひとり旅 [本や映画、音]

行かずに死ねるか! - 世界9万5000km自転車ひとり旅


まだ読み始めたところ。
僕も自転車ペースでゆっくり読んでる。
今はアラスカからスタートして、モニュメントバレーでその美しさに何日も滞在してるよ。
「自分なりの世界一」を探して自転車で世界一周するっておハナシ。

旅の本は数々あるけど、この本は間違いなくスバラシイ。
何がいいって、旅の進行に合わせて、見開きの左下の世界地図に走った軌跡がどんどん足されていく。
(あ、僕が読んでるのは単行本バージョン。上のリンクは文庫版バージョンのものだけど、たぶん同じだと思うな)

こういう細かい作業をしてる本がおもしろくないはずがない。
手がかかるもん。
だけど
「これがあるとおもしろいよなぁ」
「そうだね、分かりやすいね」
「やろう、やろう」

編集さんとそう言いながら地図の原稿、作ったんだろうなぁ。
きっといい編集さんに巡り会ったんだろうなぁ。
愛情込めて作った本なんだろうなぁ。

まだ全部読んでないけど、最初の数ページで本が好きな人と、旅が好きな人が巡り会って作った本だっていうのが分かるよ。
だから早速、続編も注文した。

いちばん危険なトイレといちばんの星空 - 世界9万5000km自転車ひとり旅〈2〉


読み終わったらまた、感想書くね。

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09.08.24 「宇宙へ。」 [本や映画、音]

すっかりバレてると思うけど、宇宙とか飛行機とか大好き。
だからこの映画は、んっげぇ楽しみにしてた。

090824.jpg
「宇宙へ。(そらへ)」

原題は
「ROCKETMEN]

もう、タイトルで引きつけるよね。
人類が宇宙への旅をかけて築いてきた道のりを、NASAが記録していた16mmフィルムを元にして、イギリスのBBCが制作したドキュメンタリー。

なんせ

ドキュメンタリー。
NASA所蔵。
16mmフィルム。
ロケットにひかれた男たち。
多くの犠牲。
宇宙。
地球。
成功と挫折。

こんな言葉を重ねられたらジッとしてられないでしょ。
しかも公開当日の8月21日と、翌日の22日は全国どこの劇場でも500円の均一料金。
これってサポートしてるIHIが、入場者の差額分を負担しますよっていう太っ腹な企画だったんだよね。

IHIっていやぁ、元は石川島播磨重工。
日本の宇宙開発を支えてる会社だしね。
宇宙やら橋やらタンカーやら。
でっかいモノが大好きな男子たちにとって、IHIは心にダイレクトに響くブランドだから。
IHIがサポートしてるって聞いただけで
「ぜってぇ『宇宙へ。』は見に行く!」
って決心を固めるにじゅうぶんな説得力。

で、行ってきたよ。500円で。

宇宙に行く。
そのいちばん最初はお猿さんが乗ったロケットだった。
そっからどんどん技術は進み、人が乗り、周回軌道を回り。

やがてケネディ大統領は
「われわれはこの10年のうちに人類を月に送る。
それは簡単だからじゃない。
難しいコトだから、あえて挑戦するんだよ」
的なことを演説で言って。

そこからアメリカは国が一丸になって月着陸を成功させた。
さらにそれ以降はスペースシャトルで重量物を宇宙に運ぶっていう、信じられない偉業を重ねてきて。
いまや国際宇宙ステーションができあがったくらいだからね。
いくつかの悲しい事故もあったけれど、やっぱり人は前に進むことを選ぶ生き物なんだよっておハナシ。

NASAが協力したっていうだけあって、実際にサターンロケット打ち上げのシークェンスの映像とか、かなりの迫力。
発射台って、あんなに火炎地獄になってるんだ!ってビックリしたよ。

あとね、月に立ってる宇宙飛行士と管制官との交信とか。
宇宙飛行士がホントに月探査を楽しんでて、
「もう帰らないといけないの? 楽しいのに」
って言ったりしてる。
お〜〜〜、こんなだったんだぁ〜〜、ってワクワクするよ。

ロケットってね、ほぼ可燃物。
サターンロケットなんて、ビルの35階建てっていう巨大なロケットなのに、人が乗ってるのは先っちょの三角のところだけ。
あとは、ほぼ燃料。ビル一個丸ごと燃料タンクみたいなもんだよ。
宇宙に行くって、こんなにいっぱい燃料がいるの?
ほとんど燃料打ち上げてるようなもんじゃん!
その燃料を持ち上げるために、さらに燃料が要る、みたいな構造。
だからロケットは燃料の固まり。
そんな、まるで巨大な火薬庫の上にお尻を乗っけてるような状態で、帰ってこれるかどうかも分からないのに宇宙を目指す。
しかも、やっと行ける!ってワクワクしながら。
ん〜〜〜、そこに気持ちが向いてしまう人っていう生き物は狂気と探求心が同居してるよね。
そこには抗いがたい甘い魅力があるところに感動しちゃうよ!

もちろん、技術を開発していく途中には事故も起こったよ。
なんせ積んでる燃料の量がハンパないから、失敗したときには大爆発だったりね。
チャレンジャーの打ち上げ直後の事故とか、結果は知ってるわけで。
それなのに、打ち上げに向けて気持ちが高まってる宇宙飛行士たちの笑顔が映し出されて。
この笑顔は二度と帰って来ないって思いながら、見てたら胸が痛くなった。

でも、そういうロケットの打ち上げを一目見ようと、いろんな地域からたくさんの人たちがやってきて。
キャンピングカーでキャンプしながらその時を待って。
写真撮ったり8ミリで撮影したりしながら、満面の笑みで見上げてる。
やっぱり宇宙に行くっていうのは、それくらい人の気持ちを高揚させて、希望を高めるものなんだなぁって思った。

個人的にはナレーションが気になったかな。
いや、その原稿が。
日本語として、その形容詞の使い方はなくね?みたいな部分で。
なんかね、感動させようとして一生懸命。
まずそこで冷めちゃった。
(技術的な日本語訳の監修は、宇宙飛行士の毛利さんだったね)

あと、一言目から聞いたことのある声だったんだけど、日本語のナレーションが雨上がり決死隊の宮迫さんで。
決して悪くはないし、おちついた声は好感が持てるんだけどね。
特別に読むのが上手いわけでもない芸人さんが選ばれた。
その理由がもしも実よりも名、質よりも知名度を取ったってことなら、
「幾多の尊い命が、その栄光を支えた」
っていうキャッチコピーが空々しくなるなぁ、なんてね。

それから、エンディングに流れるゴスペラーズの歌。
「あの宇宙へ〜」みたいな感じの曲。
正直、いらね〜〜〜。
映画の中にがんばって入ってこようとしてる姿勢が気恥ずかしくて、久々にエンドロールの途中で席を立ちたくなったな。
あの曲がなかったら、もっといい映画になったし、もっと気持ち良く劇場を出れたかな。
せっかく人類の壮大な冒険心と勇気と不屈のチャレンジ精神の余韻に浸ってるんだから。
じゃましないでほしかったな。

作品自体、全体的にはドキュメンタリーだからしょうがないのかも、だけど。
ストーリーって言えるほどのものがなくって、構成としてはテレビっぽかったかな。
せっかくの映画だし、スクリーンで宇宙や地球のの壮大な映像を見たかったんだけど、そこんとこもあまり多くなく。
正直、映画館で見てる意味ってのが微妙に薄くて。
基本的にはDVDの発売を待つ、でいいかな、と。
NHKあたりが宇宙のことが大好きなディレクターを起用して、きちんとした美しい日本語訳をつけて作ってくれたら、すごくいい特番になる気がするよ。


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09.08.21 X GAMES 3D the Movie [本や映画、音]

うわ、これちょ〜〜見てぇよ。


ボブ・バンクェストやダニー・ウェイやショーン・ホワイトやリッキー・カーマイケルが立体映像で飛び出してくるらしいよ。
アメリカで、今日から1週間の限定公開だって。
日本でやんないかなぁ〜〜。

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09.08.19 「眼の誕生」アンドリュー・パーカー [本や映画、音]

今から5億4200万年前から5億3,000万年前。カンブリア期って言われる時期に、いきなり生物が大進化を遂げてたくさん現れたよ!

そりゃもうどえらい勢いで進化して驚くほど生息数が増えちゃったから「カンブリア爆発」なんてレペゼン岡本太郎的な呼び方までしちゃうくらい。

現れた生物も多種多様。
アノマロカリス こーゆーのとか。

こーゆーのとか。


想像のはるか斜め上を行くデザイン。なんじゃこりゃ的生物が山盛り。
いったいこのカンブリア爆発って何? どうしてこんなことが起こったんだろう? いったい何が原因?
そんなことをしっかり解き明かしてくれる本。



もう3回くらい読んでるけど、読むたびに感心するね。
まず著者のアンドリュー・パーカーは「カンブリア爆発とは何か」を定義することから始めるよ。

「カンブリア爆発」以前、生物の化石はほとんど見つからなかった。ところがある時期を堺に、いきなりたくさんの生物の化石が見つるようになったわけ。
だからエライ先生たちはこう考えてたよ。
「おお! いきなり生物の数が増えたです!! 進化は爆発だぁ!!!」

だけどアンドリューはそうじゃねぇだろ、って言うね。
「事実は化石がたくさん見つかるようになった、ってことで、それは化石化しやすい生物が多くなったってことなんじゃね?」

今じゃ、この説はかなり有力。アンドリューは続けるよ。
「生き物が進化するのはそんなにイージーじゃねぇよ。だいたい身体の内側の構造を変えるのは大変なんだから。そうじゃなくて、身体の外側が固い構造の生き物が増えたってことなんじゃね? 身体の内側を変更するより、その方が簡単じゃん。簡単な方から考えようよ」
って。

さらにアンドリューは
「この時期までに生物の『門(分類学上の区切りのひとつね)』はほとんど出尽くしてて、生き物としてのラインナップは揃ってた。だけどみんな柔らかい身体しか持ってなかったんだよ。だけどある日、鎧甲に身を固めたヤツらが現れた。で、ドミノ式にみんな固い身体を備えることになっちゃった。で、化石がたくさん残った。それが「カンブリア爆発」なんじゃね?」
って。

カンブリア爆発は生物の門が突如として増えたんじゃなくて、生物が一斉に固い殻や外骨格やアゴやトゲを身体の外側に装備した時期だったんだ、ってね。

んじゃ、何でそんなことになったのか?
それは生物の第1原則を刺激される、つまり殺されちゃうかもしれないっていう生物にとって最大の刺激が発生したから。

それまでも捕食者はいたけど、すっごくスローだった。受動的でさえあった。
ところが積極的に捕食活動を展開する生き物が現れた。
こうして食うものと食われるものという関係ができあがった。
その関係を作り上げたのが光であり、光によって得物を察知する「眼」という器官の発生によるものだ、ってのがアンドリューの主張。

途中で出てくる構造色の話とか、中学の物理をしっかりやってないと辛いかもだけどね。
光っていうどこに出もある刺激が生物の進化を促進する「淘汰圧」として働くこと。
さらに「色」は自然界の中にはなく、ものを見ている生物の「脳」の中にしかないこと。
そしてカンブリア爆発の頃の生物はどんな色をしていたか。
単眼や複眼など、生物の生活様式は眼の構造をどこまで決定づけるのか、などなど。

文章もおもしろいし、章ごとに話が完結するから理解しやすい。
(時々、あらぬ方向に話が飛んで脱線するけどね)

でね、読んだ後は自分が見てるものが今ひとつ信用できなくなる。
これはオレの目が見てるのか、脳が見てるのか?ってね。
と同時に、生物ごとに見てる光が違うってことや、カナブンの緑がかった甲羅の構造色に感心したりするよ。

科学と動物とむかしの生き物が好きな人にはおすすめ。


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09.08.01 エヴァンゲリヲン新劇場版:破 [本や映画、音]

やっと見てきたよ。

eva2.jpg
ありがとう


前作の「エヴァンゲリヲン新劇場版:序」がね、ストーリーとしてはテレビ版のリビルドだったでしょ。
(とは言っても、超高精度かつ高密度なリビルドだったけど)

だからまぁ、今回はどのへんまでのお話しなのかな。
やっぱあれかな、劇場版のポスターが咆吼するエヴァだし、シリーズとしても全4作中の2作目だし。
尺を考えるとテレビ版のあのあたりまでいっちゃうのかな、とか思ってたわけです。

あのね。
言えない。
何か一つ言うだけで、すんげぇネタバレになっちゃうから。
エヴァを観る楽しみが半分以下になっちゃうから。
前置きナシのまっさらな状態で見るのをオススメ。


映画自体はテレビ版のエヴァを見てなくても十分楽しめるよ。
一応、誰がどんな人なのかは知っといた方がいいけど、それはWikipediaの登場人物のところを読んどけば十分。
新世紀エヴァンゲリオン - Wikipedia

もちろん登場人物の設定や、どの人がどの人にどういう感情を持ってて、バックグラウンドにどんなドラマがあったのかを知っとくともっと楽しめるけど。
時間がある人は基礎知識として、テレビ版の15話くらいまでは見といてもいいかな、と。

今回も画はスゴイよ。
手抜きナシ。
重量感とスピード感はえらいことになってる。
ものが落ちたり壊れたり。
巨大な構造物が移動する様子や、厚みのある金属が圧力をうけて歪んでいく描写はものすごく高品質。
たぶんいろんなものを、ていねいに観察したんだろうなぁ〜って思えるよ。

アニメって、あり得ないものをあるように描くんじゃないんだね。
見慣れてるものの動きを違和感なく強調してあり得ないものでラッピングしてた。
どうやったらああいう画を思い描けるんだろう。
だってすべては現実にはないものばっかり。
想像力だけが出発点なんだもんね。
ある人の頭の中にある情景が、コンテになって、画になって、コマになって、映画としてスクリーンに映されて、他の人の頭の中に入っていく。
この手間のかかった遠回りなアイディアの転送ぶり。&、その行程の味わい深さってどうよ!とか思いながら見てた。

あと音響がとてもよくデザインされてたよ。
暗い劇場の中だと、ホントにエントリープラグの中にいるみたいな感じ。
LCLみたいな液体の中で音の位置があれだけハッキリ分かるのか、ってツッコミはあるけど。
んなことたぁおいといて、気分はかなり上がるよね。

こういう画や音の質の部分は、家だと厳しいからなぁ。
その意味でも、映画館に出かけていく価値は十分だと思うよ。

映画自体はエンドロールが完全に終わるまで席を立たないこと。
これ、とても大事。
例によって、お約束の予告があるからね。
それと、どうやら重要そうなシーンがひとつ。

個人的には冒頭に出てくる使徒のデザインがちょ〜〜イケてて。
やたら装甲板っぽかったり、針的構造物だったり。
まるっきり「ぼくらの」風じゃん!って嬉しくなったんだけど。
エンドロールにはちゃんと鬼頭莫宏の名前がクレジットされてたね。
ナイス!
やっぱこの人はバイオでメカニカルでCGちっくな、見たことないものをデザインさせたら一級だね。天才!
メカデザインがカンブリア紀の生き物みたい。
大好き。

でもまぁ正直、作品に対してはまだ消化不良。
決してまとまりのある映画とは言えない気がするな。
けど、好きか嫌いかで言えば、間違いなく好き。
たぶん映画ってことじゃなくて、「エヴァ」っていうカテゴリーで見ちゃってるんだと思う。

多分この映画の感想はブログみたいな一方通行の形じゃなくて、直接顔を見ながら。
で、お互いの声で意見や感想や考え方を交換し合った方がいい気がするよ。
そこが大切。
そういうタイプの映画。

だからあと2回くらい、エヴァを見た人と劇場に行こうかと思ってるところ。


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09.07.05 ボルト [本や映画、音]

bolt.jpg
「ボルト」公式サイト
日本公開は8月1日から。

最初に言っとくよ。
もしもこの映画をまっさらなキモチで見たいと思ってるなら、この先は映画を見てからにしてね。
ネタバレ満載。さらに勝手な解釈付き。
子どもの目線で「ワンちゃんの大冒険を見たいの!」って人は、このエントリーは飛ばすべき。

けど。
あからさますぎない上出来なデートムービーを探してる人たちにはオススメ。
「ワンちゃんの大冒険を見たいの!」って言って彼氏を誘い出すのもアリ。
(ただし、相手にはこのエントリーは読ませないこと)



















これくらい空ければいいかな?






ストーリーはこうだよ。
ボルトはスーパードッグ。超高速で走り、障害物も華麗に飛び越え、目から光線を放ち、一声吠えるだけでどんな敵でも吹き飛ばす。
飼い主のペニーはハイテク装備を使いこなすガジェット少女。装備を発明したパパは悪の組織にさらわれちゃった。
そのパパを助け出すために、ボルトとペニーは悪の組織と戦うのだ!
ってのがテレビドラマ『ボルト』のあらすじ。すべてはスタジオの中の話。
ボルトに迫真の演技をさせるため、大人たちはボルトをスタジオから出さないようにして、ドラマを現実だと思い込ませてる。
ボルトにしてみれば、それを疑う要素がない。
自分は無敵のスーパードッグ。次の戦いでは必ず悪の組織をやっつけてやると思ってる。
大好きなペニーのために!

ところが。
ある日、ちょっとしたアクシデントでボルトはスタジオのあるアメリカ西海岸から、東海岸へ運ばれる。
ボルト、超エキサイト。
いったいこれはどうしたことだ! さては悪の組織のたくらみだな!!

偶然出会った猫のミトンズと話してるうちに、ボルトは気づき始める。
どうやらすべてはドラマ。作られた世界だった。自分はただの犬だ。
シニカルなミトンズは、純粋に信じていたボルトを笑い飛ばす。
それでもボルトはペニーに会いたい。
とにかくペニーに会いに行くんだ!

こうしてアメリカ大陸を横断する、ボルトの旅が始まる。
頼りはぬりえ(だったかな?)のアメリカ地図。
道連れは猫のミトンズと、テレビオタクのハムスター・ライノ。
ライノはテレビばっかり見てるから、ボルトがスーパードッグだって信じてる。

途中、ミトンズはボルトにさとす。
会いに行ってもムダだと思うよ。だってあれはドラマ。あの子も女優。すべてはウソ、ツクリモノ。
きっといまごろ、あんたのことなんて忘れてるよ。
それを聞いて、すっかり落ち込むボルト。
ペニーのために全力で戦った日々が作り物だったとしても、ペニーの笑顔も優しさもすべて作り物なんだろうか?
あれは全部うそだったんだろうか?
たとえそうだとしても、もう一度ペニーに会いたい。

3匹はいろんな苦労を重ねて西海岸へ。
ついに撮影スタジオへと辿りついたボルトは、ペニーに再会することになる!

って、ここでお話しを終わらせるようなボンクラ脚本家には用はないよ。
そんな薄っぺらいお話しなら見る価値なし!

心に残る映画ってのはたいてい、何かを代弁してる。

ボルトを見て思ったのは、これは「かわいいワンちゃんが苦労して飼い主のところに戻る冒険の物語」なんかじゃない。
これは少年が自立していく通過儀礼のお話しなんだよ。

ボルトは自分のことをスーパードッグだと思ってた。
何でもできるワンダーボーイ。自信もあるし、今まで一度だって自分の可能性を疑ったコトはない。
ところが一歩外に出てみたら、自分は無力で無能な存在。
1人じゃ何もできない、ただの世間知らずだった。

これは少年たちが社会に出て最初に感じる挫折だよね。
希望があった。夢もあった。できなんてみじんも思わない。
だけどその夢や希望は、小さな世界の中だけで通用する、自分本位なモノだった。
こうして徹底的に打ちのめされて、アイデンテティーを失う。

さらに、おまえが夢見ていたのはくだらない理想論だと世間ズレした誰かにささやかれる。
おまえには何もない。金も地位もない。身の程を知れ。ムダな背伸びは止めろ。
そうやって自信を打ち砕かれた後に、やさしくささやかれるよね。
だからまぁ、届くはずもない夢を見るのはやめよう。
楽にやろうよ。
ほら、こうすれば簡単さ。
もがくよりもここで流れに乗ってる方がイージーじゃない?って。

そこで止まるか。あるいは最初の夢を追いかけるか。
情熱と妥協。夢と現実。
大人になるってのは、そのどっちかを選ぶこと。

ボルトは情熱で夢を選んだ。そうして大陸を横断したんだけどね。

ちなみに。
いい映画には、映画を映画として楽しめるような仕掛けがしてある。
感情移入も映画の大事な要素の一つだよね。
ボルトに感情移入してもらうためには、ボルトはみんなのキモチを受け止められる存在じゃないといけない。

この映画は、どれだけボルトに感情移入できるかがポイントになるよ。
だからペニーみたいな具体的なキャラクター、つまり人間じゃあダメなんだよね。
ボルトが人間だったら、それは「他人」の話だからね。
ミトンズやライノが動物なのに人間の言葉を喋るのも同じ。
人ではない外見で、中身は理解しやすい同族。
それは感情移入をしてもらうために必要な舞台装置なんだと思う。
だから、ボルトは動物だった。ってか、動物がいちばんイージー。しかも人間に近いところにいる動物。
ってわけで、犬ね。あと猫、小動物。鳥なんかも悪くない。全部出てくるな、考えてみたら。

で、ボルトはオスの犬だ。
主人公が男性なんじゃなくて、感情移入の対象が男性なんだよね。
だからこの映画が男性に向けて作られてるってコトがよく分かる。
しかも通過儀礼を経てきたことに共感してくれる人たち。
つまり、大人の男の人に向けて作られたお話しなんだと思うよ。
子どもは普通に楽しめる。だけどそれ以上に、パパもじゅうぶん感動できる。
あの映画、意外に良かったぜ。大人同士でそういう評判になれば大成功だよね。
(あるいは映画会社の重役たちをターゲットにしたか、だね)


ストーリーに戻るよ。
スタジオに戻ってみたら、そこにはペニーがいた。嬉しくて駆け出しそうになるボルト!
けれど、ペニーは自分ではない別のボルトを抱きしめていた。
ガーン !!!

この脚本家は分かってる。絶対にストーリーはこうじゃないといけない。
ここはもう一度、ボルトにはどん底まで落ちてもらわないといけない。
徹底的にたたきのめされて、立ち上げれないほどに。
なぜなら。
本当の通過儀礼は大陸を旅してきたコトじゃなくて、大事な人にアイデンテティーを否定されて尚、どうするのか、ってことなんだよ。
それが早とちりの誤解だったとしてもね。

ボルトは肩を落としてスタジオを去ろうとする。
ミトンズの言ったとおりだった。もうペニーは自分を必要としてない。バカだった。長い旅をしてきたけれど、すべて自分のうぬぼれだった。ペニーが自分を待ってくれてると思っていたことが間違いだった。ああ、僕はなんて思い上がった犬なんだ。あのかわいいペニーが、僕みたいな犬をいつまでも待っててくれるわけないじゃないか。

たいていの男の子が失恋した時に味わう、あの感じ。
いちばん自分を認めて欲しいと思ってる人に、存在を否定される感覚。
すべてを失い、自信をなくし、前に進むチカラがゼロになる。
誰もが知ってる辛い辛い時期だ。
でも観客は知ってる。ボルト、そのボルトは偽物だ。ただの代役だ。ペニーは君を待ってる。いじけて誤解して落ち込んでる場合じゃない。勇気を出してペニーに会いに行くんだよ! そしてペニーのキモチを確かめるんだ!!
大人たちだからこそ、おなじ間違いをしてきた人たちだからこそ、ボルトにエールを送ることができるんだよ。
さぁボルト、走れ!

物語は一気に伏線を回収し始めるよ。
どうしてミトンズはあんなに物知りで世間のことを見下していたんだろう。
ライノの思い込んだら一直線な性格はうざいだけじゃなかった。
終始、ボルトに会いたがってたペニーの真っ直ぐな想い。
そして、ペニーに会いたいっていうキモチを大事にして、最後まで自分に嘘をつかなかったボルトの心根の美しさ。

すべてが混じり合って、素晴らしいエンディングへと加速していくよ。

男の子たちはこの映画を見ながら、勇気のなかったあの日の自分や、確かめもせずに信じ込んでしまった誤解を後悔して、となりにいる大切な人の手を握ると思う。
女の子たちは待っていることの大切さを知りながら、ひたむきなキモチを持ち続けることの意味を知ると思う。

残念なことに僕は飛行機の中で見たから、隣はカタコトの日本語を話すアメリカ人のおっさんだったけど。

子ども向けの冒険ワンちゃんストーリーだって思ってたら大間違い。
「ボルト」は大人が失った日々を慈しみ、今を大切にするきっかけをくれる美しいストーリーだよ。
少年はこうやって大人になるし、大切なものを手に入れる。
友も大事な人も、すべて力を尽くしたからこそ、ここにある。
その感動を共有すれば、デート後半戦で何かが背中を押してくれると思うな。


星の数? それ、聞いちゃう?

★★★★★

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09.06.29 トランスフォーマー・リベンジ [本や映画、音]

見てきた。
transformers.jpeg
びー、おまえは連れて行けないんだよ。くぅ〜〜〜〜



1作目を見てなかったから、急いでいろんなリサーチをしてあらすじを学習。

・ロボットは生きてる
・ロボットは車やトラックに化けられる。イザとなったら人型に変形するのだ
・ロボットは悪いチームと良いチームに別れてる
・主人公のサムはロボットの1人・バンブルビーと仲が良いよ
・軍の中には良いロボットチームに理解を示してる人がいる。頼りになる
・前作で悪のロボットは海底に沈んだ

ってことくらいおさえておけばOK。

ストーリーはすごくシンプル。
大前提として悪と善がいる→ある日悪は封印されている驚異的なチカラを手に入れようとする→驚異的なチカラを呼び起こすためにはカギが必要→そのカギの在りかを知ってるのは主人公→カギを巡って戦いが起こる→愛と自己犠牲のドラマが起こる→主人公の献身的な活躍で仲間は助かる→最後はみんなでチカラを合わせて悪を叩く→平和が戻ったよ!
物語の核になる小道具を巡って善と悪が争う。
構造としてはインディージョーンズやフィフス・エレメントなんかといっしょだね。あるいはマトリックス・リローデッド。
(ってか、1作目と同じ?)

トランスフォーマーシリーズは、車やらジェット機やらが一瞬でガチャガチャと変形してロボットになる様子が気持ちいいよ。
で、CGのレベルの高さにびっくらこくね。
ロボットたちが立ってる姿だけでも、なんであんなに滑らかなんだろうって感動。
ちょっとでもCGをかじったことのある人なら、あまりに見事な動きにあっけにとられると思う。
で、細かい部品をむき出しにしたまんまのロボットがガンガン格闘するよ。

そんな感じでCGバリバリ。画面はあまりに動きが複雑で早くてえらいことになってる。
この超速度な画面と字幕とを同時に追いかけるのはムリだろうってコトで吹き替え版を見たよ。
正解だった。吹き替えブラボー。
あれで文字を追ってたら目が死ぬ。

吹き替えでしっかり画面を注視してても、ロボット同士の格闘シーンではどっちが良い方でどっちが悪い方だか分かんなくなるくらいにスーパースピード。
全編、何から何まで速い速い速い。
そのスピード感に乗っかって、くち開けっ放しで「すげ~~~~」って言ってるのが正解。

個人的にはF-22ラプターががんがん飛んだり、レールガンが出てきたり。
まだ実用化されてない兵器がいっぱい出てきて超嬉しかった。
特にレールガンは発射と同時に着弾、みたいな。
あ、やっぱレールガンの打ち出し速度は速いんだ~とか。

出てくるメカはことごとく、どこでどの部品がどうくっついてるんだろう?とか思っちゃうけどね。
そういう理屈は一切関係なし。
ムダに歯車がグルグルしてたりして、メカ心くすぐりまくり。
燃料タンクがどこにあろうと、ジェットからは炎が出るし、
腕のキャノン砲からはナニモノかが撃ち出される。
その様子がたまらんカッコ良さだからよし!だね。
あと古い兵器ね。SR-71とか。
やっべぇ。あのデザインは永遠だわ。

あと、敵のロボットがありえないくらいにカッコいい。
最初に出てくるでかいタイヤのやつとか、ピラミッドにのぼるやつとか。
デザイン的に気持ちいいよ。
ナイス。ずっと見てたい。

帰り道でスポーツカーを見たら、あれも変形する?って言いそうになったよ。
黄色いクルマは特に注意。見ただけでテンション上がっちゃうから。
そんくらい楽しい。
男子全員、小学生化決定。

ストーリーに華はないけど、CGでお腹いっぱいだね!
星?

★★★★

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