SSブログ

09.08.24 「宇宙へ。」 [本や映画、音]

すっかりバレてると思うけど、宇宙とか飛行機とか大好き。
だからこの映画は、んっげぇ楽しみにしてた。

090824.jpg
「宇宙へ。(そらへ)」

原題は
「ROCKETMEN]

もう、タイトルで引きつけるよね。
人類が宇宙への旅をかけて築いてきた道のりを、NASAが記録していた16mmフィルムを元にして、イギリスのBBCが制作したドキュメンタリー。

なんせ

ドキュメンタリー。
NASA所蔵。
16mmフィルム。
ロケットにひかれた男たち。
多くの犠牲。
宇宙。
地球。
成功と挫折。

こんな言葉を重ねられたらジッとしてられないでしょ。
しかも公開当日の8月21日と、翌日の22日は全国どこの劇場でも500円の均一料金。
これってサポートしてるIHIが、入場者の差額分を負担しますよっていう太っ腹な企画だったんだよね。

IHIっていやぁ、元は石川島播磨重工。
日本の宇宙開発を支えてる会社だしね。
宇宙やら橋やらタンカーやら。
でっかいモノが大好きな男子たちにとって、IHIは心にダイレクトに響くブランドだから。
IHIがサポートしてるって聞いただけで
「ぜってぇ『宇宙へ。』は見に行く!」
って決心を固めるにじゅうぶんな説得力。

で、行ってきたよ。500円で。

宇宙に行く。
そのいちばん最初はお猿さんが乗ったロケットだった。
そっからどんどん技術は進み、人が乗り、周回軌道を回り。

やがてケネディ大統領は
「われわれはこの10年のうちに人類を月に送る。
それは簡単だからじゃない。
難しいコトだから、あえて挑戦するんだよ」
的なことを演説で言って。

そこからアメリカは国が一丸になって月着陸を成功させた。
さらにそれ以降はスペースシャトルで重量物を宇宙に運ぶっていう、信じられない偉業を重ねてきて。
いまや国際宇宙ステーションができあがったくらいだからね。
いくつかの悲しい事故もあったけれど、やっぱり人は前に進むことを選ぶ生き物なんだよっておハナシ。

NASAが協力したっていうだけあって、実際にサターンロケット打ち上げのシークェンスの映像とか、かなりの迫力。
発射台って、あんなに火炎地獄になってるんだ!ってビックリしたよ。

あとね、月に立ってる宇宙飛行士と管制官との交信とか。
宇宙飛行士がホントに月探査を楽しんでて、
「もう帰らないといけないの? 楽しいのに」
って言ったりしてる。
お〜〜〜、こんなだったんだぁ〜〜、ってワクワクするよ。

ロケットってね、ほぼ可燃物。
サターンロケットなんて、ビルの35階建てっていう巨大なロケットなのに、人が乗ってるのは先っちょの三角のところだけ。
あとは、ほぼ燃料。ビル一個丸ごと燃料タンクみたいなもんだよ。
宇宙に行くって、こんなにいっぱい燃料がいるの?
ほとんど燃料打ち上げてるようなもんじゃん!
その燃料を持ち上げるために、さらに燃料が要る、みたいな構造。
だからロケットは燃料の固まり。
そんな、まるで巨大な火薬庫の上にお尻を乗っけてるような状態で、帰ってこれるかどうかも分からないのに宇宙を目指す。
しかも、やっと行ける!ってワクワクしながら。
ん〜〜〜、そこに気持ちが向いてしまう人っていう生き物は狂気と探求心が同居してるよね。
そこには抗いがたい甘い魅力があるところに感動しちゃうよ!

もちろん、技術を開発していく途中には事故も起こったよ。
なんせ積んでる燃料の量がハンパないから、失敗したときには大爆発だったりね。
チャレンジャーの打ち上げ直後の事故とか、結果は知ってるわけで。
それなのに、打ち上げに向けて気持ちが高まってる宇宙飛行士たちの笑顔が映し出されて。
この笑顔は二度と帰って来ないって思いながら、見てたら胸が痛くなった。

でも、そういうロケットの打ち上げを一目見ようと、いろんな地域からたくさんの人たちがやってきて。
キャンピングカーでキャンプしながらその時を待って。
写真撮ったり8ミリで撮影したりしながら、満面の笑みで見上げてる。
やっぱり宇宙に行くっていうのは、それくらい人の気持ちを高揚させて、希望を高めるものなんだなぁって思った。

個人的にはナレーションが気になったかな。
いや、その原稿が。
日本語として、その形容詞の使い方はなくね?みたいな部分で。
なんかね、感動させようとして一生懸命。
まずそこで冷めちゃった。
(技術的な日本語訳の監修は、宇宙飛行士の毛利さんだったね)

あと、一言目から聞いたことのある声だったんだけど、日本語のナレーションが雨上がり決死隊の宮迫さんで。
決して悪くはないし、おちついた声は好感が持てるんだけどね。
特別に読むのが上手いわけでもない芸人さんが選ばれた。
その理由がもしも実よりも名、質よりも知名度を取ったってことなら、
「幾多の尊い命が、その栄光を支えた」
っていうキャッチコピーが空々しくなるなぁ、なんてね。

それから、エンディングに流れるゴスペラーズの歌。
「あの宇宙へ〜」みたいな感じの曲。
正直、いらね〜〜〜。
映画の中にがんばって入ってこようとしてる姿勢が気恥ずかしくて、久々にエンドロールの途中で席を立ちたくなったな。
あの曲がなかったら、もっといい映画になったし、もっと気持ち良く劇場を出れたかな。
せっかく人類の壮大な冒険心と勇気と不屈のチャレンジ精神の余韻に浸ってるんだから。
じゃましないでほしかったな。

作品自体、全体的にはドキュメンタリーだからしょうがないのかも、だけど。
ストーリーって言えるほどのものがなくって、構成としてはテレビっぽかったかな。
せっかくの映画だし、スクリーンで宇宙や地球のの壮大な映像を見たかったんだけど、そこんとこもあまり多くなく。
正直、映画館で見てる意味ってのが微妙に薄くて。
基本的にはDVDの発売を待つ、でいいかな、と。
NHKあたりが宇宙のことが大好きなディレクターを起用して、きちんとした美しい日本語訳をつけて作ってくれたら、すごくいい特番になる気がするよ。


共通テーマ:スポーツ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。