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09.06.11 「ぼくと1ルピーの神様」 [本や映画、音]

週に何日か都心に通ってた時には、電車の中が読書タイムだったよ。
ところが郊外にひっこして自宅で作業することになったら、
とたんに本を読む時間がなくなった。
ってか、本を読むタイミングがなくなったんだよね。
目の前に仕事があると、ついついしちゃうから。

なもんで、最近読書量が減ってるけど。
これは面白くて一気に読んだ。久々に気持ちのいい物語。


「ぼくと1ルピーの神様」



映画「スラムドッグ$ミリオネア」の原作。
だけどお話しとしてはまったく、っていいほど別物。
主人公の名前とか違うしね。あと登場人物の構成も。

原作っていうか、この物語をベースにして、ストーリーの背骨(ってか部品?)だけ上手く使って、映画っていう形に再構成したのが「スラムドッグ$ミリオネア」かな。
こういう、物語をベースにして「映画」っていうメディアに作り直していくのは正しいと思う。

だって映画はどうしても90分くらいで話を終わらせないといけないからね。
時間軸に沿って限られた枠の中に起承転結を詰め込まないといけない。
さらに分かりやすくないといけない。
「今のところ、もういっかい!」はないから。
けど、本は戻れるし、いくらでも時間をかけられるからね。
どうしても本の方が長くなるよね。
それをそのまま映画って形に当てはめようとすると、20世紀少年とかみたいになっちゃう。
駆け足すぎて内容ねぇ〜〜。

「ぼくと1ルピーの神様」は人間描写だけじゃなく、1回目のガイドがどんなにひどかったとか、大好きな人が死んでいくのを見守る様子とか、映画からはくみとれないディティールが生き生きとしてて良かった。
あと、主人公がどうして逮捕されなきゃいけなかったのかとか。
そのあたりの説明に筋が通ってて納得できるよ。
インドの人の名前がなかなか頭に入ってこなかったのが唯一の難点。
日を空けて読むと
「この人、誰?」ってなっちゃう。

で、思ったんだけどね。
もしかしたら映画は物語のおもしろさってことじゃなくて、
あの番組のフォーマットと緊張感で見せられちゃったのかな、と。
あの回答者を追い詰めていく緊張感があるからこそ、
主人公が一攫千金を目前にしてエキサイトしない妙な落ち着きが際だってくる。
同時に、華やかなクイズ番組の中で、答を知ることになった悲しい過去が前面に押し出される。
映画が高評なのは、「あの」クイズ番組のフォーマットがすごく良くできてるんじゃないだろうかっていう気もしたよ。

それぞれに面白いから、両方同じように楽しめると思う。
映画は映画で良くできてるし、本は本で濃い。

順番としては映画→本、がオススメ。
(そのほうが、タージマハールの美しさの描写とかよく分かるから)


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